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2007年7月

2007年7月24日 (火)

秒速5センチメートル

気持ち悪い。

モウレツに気持ち悪いのである。

正体は前振りのやたらと長い山崎まさよしの曲のPVだったのだが、あまりの気持ち悪さに心底辟易した。

もちろん新海誠の作品は見てきたわけである程度の予測は出来たし、今までの作品通りと言うことも出来るだろう。つまり激しくカットの変わる執拗なくらい精緻で特殊な光源処理を施した背景と素人くさい、はっきり言えば下手な人物のアニメ、ぼそぼそ喋るナレーターと綺麗な旋律の音楽。ここにはいわゆるアニメーションという宮崎アニメ等の魅力のひとつである動きの喜びはない。キャラのアップ等が画面上もたないのは製作者もある程度わかっているのであろうか極力避けられてはいるがそれでは芸がないのですこし背伸びして努力したりする。特に第二話のサーフィンシーンなどは水の表現なども含め苦手な部分が顕著になった例だろう。

そこで語られる、語られない、物語の空虚さ、というか空洞さはなんなのだろう。今作は前作までの言い訳(水増し)なSFガジェットを廃することによってイメージ先行の予告編をそのまま伸ばした退屈な物語を避けて、より直球な連作短編で主人公の心の遍歴を描く。しかし余計なものを取り除いて立あらわれた物語のなんとも空虚なおぞましさはなんだろう。多分作者は本気なのである。大真面目なのである。たとえばコーエン兄弟やP.T.アンダーソンの映画のようなアイロニーやサタイアは存在しない。実作者ならば通常持っているであろう、ある種の視点が完全に抜け落ちている。そこに疑義は存在しない。

モラトリアムの肥大化した妄想を物語に転化するのは全く問題ないと思うがそこには通過すべきフィルターはあるべきだろう。そしてもうひとつ気持ちの悪いところは多くの人間が「萌え」なる概念を語るときに避けてしまうエロゲーや同人誌から発生するセクシャルな欲望、要は描かれないセックスの抑圧され方だ。

ここには何もない。何もない世界で目を閉じ耳を塞いで口をつぐんで生きている。これが今のリアルだろうか。

2007年7月19日 (木)

失踪日記

失踪日記 Book 失踪日記

著者:吾妻 ひでお
販売元:イースト・プレス
Amazon.co.jpで詳細を確認する

うっかり読んでしまう。昨日の江口寿史といい、吾妻ひでおといい、こういうのは普段は読まない。というか読まないようにしている。最近かなり弱っている。弱っている時には弱っている自分をいじめたくてこういうものをうっかり読んでしまう。かなりまずいのである。

でも傑作です。だがやはり読んではいけなかった。まずい。

 キャラ者

江口寿史の『キャラ者』もついに3巻目。しかも既刊2冊も装丁を合わせて再刊。思わず買ってしまう。高い。しかも漫画は左ページのみ。それでも面白いな、面白いのか?

2007年7月15日 (日)

島根の弁護士

原作未読、ドラマ見る。

まあ普通のスペシャルっぽいが詰め込んだ感が強い割りに退屈な場面が多かったり目をはなすとどんどこ進んだりなかなかペースが面白い変なドラマだった。

んで、ラストの、みんな知ってるけど主人公だけ知らない伏線が連ドラの為の伏線で回収されないのかなと思うと告白が突然始まって、しかもテンションががっつり変わって話を回収。

確かにこういう展開は充分アリというか理屈もつくけど流石に笑ってしまった。実際、笑わそうとしてるんでしょ?っていうかやはり連ドラの為の伏線で実は次回から母を追って地方の弁護士過疎の町を全国巡るんだ。『秋田の弁護士』とか『佐賀の弁護士』とか。母抜きで島根で続けるっておかしいよね、ドラマの流れとしては

2007年7月11日 (水)

ヘルゲランド萌え~

Payback_s_up_dvd なんとメル・ギブソンの『ペイバック』がディレクターズ・カットで出ていた。

ちょっとこれは見て~

ゲド戦記

ゲド戦記 DVD ゲド戦記

販売元:ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント
発売日:2007/07/04
Amazon.co.jpで詳細を確認する

原案:宮崎駿『シュナの旅』なのである。これが全てを語っているのである。

ゴローは個人的な問題からのっぴきならない精神状態で偉大な父であるパヤ王を殺す。この観客から無関係の驚くべき父殺しから物語は幕を開ける。もちろんそれではゴロー君の内から噴出する精神的問題は解決されないので、理想の父親ハイタカが手を差し伸べてくれる。ハイタカはパヤ王と違って人間的で誰にでも優しく、特に息子ゴローを何処までも優しく包み込んでくれる。そんな人間的な父は弱さも見せてしまう。そうなるとこっちのもの、ここぞとばかりに立派な息子を演じて父を救い家族ゲームをはじめるのだった。

世代的にそうなのか素人がつくるとそうなるのか『CASSHERN』を思い出した。とにかく皆饒舌、全部説明してしまう。説明してる間は画面が動かない。説明だけだと飽きるので説明が終わるとジブリの力ですこし動かしてみせる。宮崎駿は映画の為に意図的に通常の物語を放棄したけれど吾郎は素材を物語に構築する技術が未熟なだけだろう。後半頻出する唐突な演出は笑わそうとしているとしか思えない。画面の密度の差もばらつきがあり見てられない。

結局、ジブリブランドとは宮崎駿ブランドでジブリは宮崎駿の映画を作るスタジオなのである。ただ宮崎駿は毎年新作を作れない。しかもいつまで作るかわからない。せめて2年に1本は製作しなければならない。鈴木敏夫は宮崎駿亡き後も宮崎(駿)ブランドを存続させるべく吾郎を召喚したわけだ。でもねジブリブランドを確立することに失敗したのに素人で宮崎ジブリブランドが確立できるわけないじゃん。

虐殺器官

124636 昨年の小松左京賞落選からハヤカワJコレクションで復活のうちの一冊。デビュー作。

既に、いろんなところで語られているが、もっと語られるであろう傑作。多分、同じ来歴の円城塔『Selfe-Reference ENGINE』より語られるであろうと思う。それは読めば語りたい、語り易いという危うさも持っている。いい事か悪いことかはわからないが。

著者、伊藤計劃はこれがデビュー作であるがネットではかなり有名な人物で、サイバーパンクとMGSと映画の人。私もこの人の映画評は大変興味深くずっと読んでました。善き評論家が善き実作者になれるわけではないが、やはり完成度は高い。と、いうより態度が誠実なのである。9.11以後のアメリカの対テロ戦を描くSF軍事スリラーの外見を装い、世界の在り様と個人、罪とそれに対する罰もしくは赦しを希求する物語を徹底した思索を繰り返し物語られていく。その過程も行く末も容赦ない。その分逃げていないのだ。著者のブログから伺いしれる情報から類推するのは甚だ失礼かもしれないが、彼の人生観からくるのか、なんともナイーヴでありながらシリアスな切実さが滲む。主人公もマッチョな人物ではなくアメリカ情報軍の暗殺部隊の大尉でありながら映画マニアの文学青年なのだ。彼のモラトリアムの先にたどり着いた結末が、また痛々しい。セカイ系と親和性の高い、その方面だけで読んでしまう人も多いと思うが、決してそうではないのだ。

物語の結末や軍事的、もしくは社会情勢等のシミュレーションの細部を指摘したり批判するのはたやすいが、あまり意味はないのはこの作品とちゃんと向き合えば一目瞭然なのとクリティカルヒットは日記で報告があるでしょう。その他はエピローグ冒頭の「これが、ぼくの物語だ。語り終えたあと、ぼくはそう言ったように思う。」が全てなんじゃないでしょうか。

とにかく必読。

Book 虐殺器官

著者:伊藤 計劃
販売元:早川書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

2007年7月 8日 (日)

ティアーズ・オブ・ザ・サン

テレビで放映している。『ダイハード4.0』のおかげで毎日ブルース・ウィリスを見ている気がする。

以前DVDで見たときも良い印象がないが(だったら何故見る)やはり退屈。ブルース・ウィリスが孤立無援のモニカ・ベルッチを救出する為に、ハワイのナイジェリアで内戦が勃発する話。もう少し政治的な視線が欲しいというか、露骨でデリカシーのない場面が続く。アントワーン・フークワは結構下手なのかな。こういうのはズウィックあたりだともう少し見れる映画に仕上げられたかも。

駄目、もういいや。『伝染歌』、山田悠介原作か?激しく気になるが絶対見ない映画だろうな。

電脳コイル

電脳コイル (1) 限定版 DVD 電脳コイル (1) 限定版

販売元:バンダイビジュアル
発売日:2007/09/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

録画していたのを少しずつ見ていて、やっと放送までおいつく。(現在9話)

強化現実技術が発達した世界(電脳メガネというフェチなアイテムをフェチな描写をわざと抜いて描く)で、あからさまにトトロで攻殻機動隊。設定も伏線も過去トラウマも一切説明なくちりばめられ本来の視聴者である子供達を無視するようにどんどん物語が進んでいくと草薙素子が女王様で正体は鉄男だったのだが伝説のアキラと結合してパワーアップ。

あざとさ満載。いろんな意味で本気さのうかがわせる作品なのだが(キャラの絵や前述の電脳メガネ等、デザインのずらし加減とか、昨日放送分のホラー演出とか)、ネット騒然の過剰なネタ描写はいかがなものか?いいのかNHK?

ただ告白すると、私は残念ながらぺドフィリア的性向は全くないのだが、イサコ様にはグラっときました。恥かしい。

それでも久々に物語がどこへ連れて行ってくれるのかが楽しみな作品である。中盤過ぎても質の高さは認めるけれど充分想定内でいささか退屈な神山作品もがんばってほしい。

唐橋ユミ

すこし前から気になってたサンデーモーニングのメガネっ子。調べてみると私と同い年だった。

若いな。

2007年7月 1日 (日)

『ゴーレム100』読了

傑作。

多分とてつもない傑作。

だよな・・・

アウトラインはそんなに複雑ではない。というより、かなりストレートなSF。わかりやすいといってもいい。それが何故こんな小説になるのか?

まっこと天才とは一般人からみると、ほんまもんのあほやね。

原書を知らずとも名訳だとわかる見事な渡辺佐智江の訳で至福の小説体験でした。

Book ゴーレム100

著者:アルフレッド・ベスター
販売元:国書刊行会
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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